理事長 高橋 昌久
3月11日(金)午後の東北地方太平洋沖地震は、未曾有の大震災となりました。被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。 さまざまな困難な状況がまだまだ続くと思われますが、お身体を大事に過ごされ、一日でも早い生活の回復を祈念いたします。また、私たちもできることを継続的に行って、東北地方ひいては日本の復興に力を入れたいと思います。
さて、みなさん、予防接種行政が今、大変なことになっているのをご存知ですか?「日本脳炎の予防接種の積極勧奨の停止が解除」になったと言われ、理解できる人がいるでしょうか?予防接種後進国と一部で言われ、政治家が人気取りのようになぜか一部のワクチンだけ単年度予算で公費接種を認めて(翌年度はどうするのでしょう?)、接種回数だけ増えてしまい、一歳未満のお子さんは毎月診療所に来ても全部接種できるかわかりません。「あれをうったら4週間はあけて」と言われ、「その予防接種は集団接種だから広報で確認して」と言われ、同時接種を控えるのか勧めるのか国の方針が定まらず、単独接種が可能でもあることを保護者に説明したうえで、お医者さんの判断でとすべて現場に丸投げです。
定期接種であれば無料だが、任意接種だから有料なもの、任意接種で一部自費負担があるもの、任意接種だが公費負担で無料である地域など次から次へと変わる国の戦略なき戦術変化に、市町村の個別の戦略が加わって、兄弟でも接種の順番が変わってしまい、個々の保護者が受け取っている情報量の差がありすぎて、予防接種難民が生まれそうな雰囲気です。
保護者が接種先を探しまわってくれている間は、支援のできる診療所にたどり着ければ、母子手帳をみながら接種スケジュールを再検討するなどの助言はできます。しかし、探し回ることをやめ、予防接種そのものをあきらめて孤立してしまった場合、予防接種未接種から、健診未受診(健診会場で空白の予防接種歴にコメントをされたくない)、ひいては未就園など、社会から孤立してしまっている家庭を、最近診療所で見かけます。
予防接種一つとっても、子育てはこれだけ大変です。私のできる、これからの身近な子育て支援活動の第一歩は、他の機関からの紹介や友人からの口コミ・自らの意思で私達の前にやってきた保護者へ、子育て支援としてのエッセンスを含んだ診療(情報の提供だけでも構わない)を今まで以上に行うことだと思っています。
インターネットでの検索の末に混乱のスパイラルに入ってしまった子育て中の保護者が、「なるほど、そういう疑問はもっともだ。こういうように考えればどうだろう。おなじような疑問を持っている人は、ここにもいて、ほら、こういうように解決していますよ。そのことでも、ほかのことでもまた聞きにきてください、一緒に考えましょう」などと、診療所に迎えられ送り出されれば、自分から相談できる保護者とそのこどもたちは少なくとも子育て不安からは一部解放されるでしょう。さらに、そういった方針を、診療所の電話受付のスタッフや、看護師、診療補助スタッフ、門前薬局などにも浸透させることができれば、「街の小さな子育て支援センター」を作り出すことができるかもしれません。実際、診察室に入る前の受付スタッフとの会話、診察終了後に看護師とかわす会話、門前薬局で薬剤師とかわすやり取りなどを大事にしているスタッフと保護者がいかに多いかが、その後の診療所の会議のフィードバックでよくわかります。
そして、大事なのは、子育て支援の届きにくい家庭に、こういうことがここではできるということを地域のネットワークを通じて知らせてもらい、動き出せた家庭の支援は定点で行い、余力をさらなる支援の届きにくい家庭に振り向けながら、地域におけるすべての子どもの育ちを見守れるようになれればと思っています。
震災への対応も多種多様なものが求められると思います。こどもの虐待防止も実は様々な子育て支援が身近なことから実践されることで実りあるものになるのではないでしょうか。
虐待防止を訴えるともに、多種多様の実りある子育て支援の探求を